1: 名無しさん 2021/05/08(土) 23:04:03.32 ID:aIOxrQUA9
「マムシ咬傷」の治療法は医師任せ 抗血清の使用は5~6割
日刊ゲンダイヘルスケア2021年05月07日
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/276204
長浜バイオ大学(医療情報学)永田宏教授
毒ヘビに咬まれたら、治療の基本は抗血清だ。対象となるヘビから毒を採取し、これを馬に打って免疫をつくらせ、その血液から抗体成分を精製する。抗体は免疫グロブリンと呼ばれるタンパク質で、乾燥した粉末がバイアル(小さなガラス瓶)に封入されて出荷される。これを生理食塩水で溶いて患者に注射すると、免疫グロブリンがヘビ毒の成分と結合して中和してくれるのだ。
しかしマムシ咬傷は事情が少々複雑で、実際に抗血清が使われるのは、患者の5割から6割に過ぎないという。
「理由のひとつは、マムシ咬傷の2~3割が無毒か、ごく微量の毒にとどまっている無毒咬傷だからです。グレードⅠ(腫れが咬まれた箇所に限局している状態)で救急搬送されてくる患者の何割かは、時間が経過しても腫脹がほとんど拡大せず、痛みもすぐに治まっていく。そうした例は無毒咬傷と考えられます」
2つ目の理由は、抗血清がもたらす副作用にある。投与後、数日から2週間ほどのうちに、発熱、関節痛、皮膚のかゆみや発赤などのアレルギー反応が出たり、腎障害が表れたりする。
「これを『血清病』といい、マムシ抗血清では約12%の患者に生じます。さらにアナフィラキシーショックを起こすケースもあります。投与を開始した直後から表れることが多く、呼吸困難が生じ、危険な状態に陥ることもあります。その出現頻度は3%程度です」
一方、マムシ咬傷の致死率は0・5%程度(2014年の全国調査では0・8%)。あえて抗血清の危険を冒すべきか、微妙なところなのだ。
「そのため搬送されてきた患者のうち、グレードⅠとⅡ(手関節または足関節までの腫脹)の患者には、すぐに抗血清を打たず、入院させてしばらく様子を見るのがデファクトになっています」
その代わり「セファランチン」という薬剤を注射する。数十年前から行われている治療だが、この薬は円形脱毛症などにも使われるもので、マムシ毒にどれだけ効果があるのか、本当はよく分かっていないというから驚きだ。
またグレードにかかわらず「乱切」と呼ばれる治療が行われることがある。咬まれた部分を中心に、深さ数ミリ、長さ数センチにわたって皮膚に切れ目を何筋も入れて、毒を排出させるという治療だ。マムシ咬傷は外科医が担当することが多いため、乱切は全国の病院で行われている。しかし、これは効果がないばかりか、感染症のリスクが増してマイナス面が多いという意見もあるので、今後は減っていくかもしれないという。
「多くの文献には『破傷風予防のためにトキソイド(破傷風予防ワクチン)を注射せよ』と書かれています。しかしマムシに咬まれて破傷風になったという症例報告はほとんどありませんし、打たなくても問題ないという医者も少なからずいます」
■正式な治療ガイドラインはない
マムシ咬傷の治療は主に地方の病院で行われ、しかも1病院当たり多くても年間数例であるため、全国的な症例の蓄積が進まず、いまだに正式な治療ガイドラインが作られていない状況だ。
「暫定的なフローチャートはあるのですが、エビデンスが十分でないので、どんな治療を行うかは担当する医師に委ねられています」
肝心の抗血清は、「グレードⅢ(腫脹が肘または膝まで広がった状態)以上に達したら使用せよ」と、フローチャートや多くの文献で推奨されている。
グレードⅢ以上になると、患部だけでなく腎臓や肺に障害が出て、入院期間が長期化することが多いのだが、抗血清を投与することによりさらなる悪化を抑え、入院期間を短縮できるとされている。
「ところが数年前にある地方の中核病院から出された論文によれば、過去7年半に診たグレードⅢ以上の36例に対して、抗血清も破傷風トキソイドも打たなかったにもかかわらず、全員が内臓障害もなく完治して退院したそうです。抗血清の評価もまだまだ定まっていないのが現状です」
むろん、抗血清を打たないと本当に危ないというケースはある。それはマムシの牙が運悪く血管に刺さり、毒が血液中に直接打ち込まれた場合だ。アッという間に全身に回るため、咬まれた直後から頭痛、目まい、呼吸不全などが生じ、同時にDIC(正常な血小板が減少する症状)を起こして創口から血が止まらなくなるなど、急性の症状が表れる。
「こうしたケースでは、抗血清を打つと確実に症状が改善していくことが知られている。マムシに限れば、抗血清は患者の状態とタイミングが大切ということでしょう」
日刊ゲンダイヘルスケア2021年05月07日
https://hc.nikkan-gendai.com/articles/276204
長浜バイオ大学(医療情報学)永田宏教授
毒ヘビに咬まれたら、治療の基本は抗血清だ。対象となるヘビから毒を採取し、これを馬に打って免疫をつくらせ、その血液から抗体成分を精製する。抗体は免疫グロブリンと呼ばれるタンパク質で、乾燥した粉末がバイアル(小さなガラス瓶)に封入されて出荷される。これを生理食塩水で溶いて患者に注射すると、免疫グロブリンがヘビ毒の成分と結合して中和してくれるのだ。
しかしマムシ咬傷は事情が少々複雑で、実際に抗血清が使われるのは、患者の5割から6割に過ぎないという。
「理由のひとつは、マムシ咬傷の2~3割が無毒か、ごく微量の毒にとどまっている無毒咬傷だからです。グレードⅠ(腫れが咬まれた箇所に限局している状態)で救急搬送されてくる患者の何割かは、時間が経過しても腫脹がほとんど拡大せず、痛みもすぐに治まっていく。そうした例は無毒咬傷と考えられます」
2つ目の理由は、抗血清がもたらす副作用にある。投与後、数日から2週間ほどのうちに、発熱、関節痛、皮膚のかゆみや発赤などのアレルギー反応が出たり、腎障害が表れたりする。
「これを『血清病』といい、マムシ抗血清では約12%の患者に生じます。さらにアナフィラキシーショックを起こすケースもあります。投与を開始した直後から表れることが多く、呼吸困難が生じ、危険な状態に陥ることもあります。その出現頻度は3%程度です」
一方、マムシ咬傷の致死率は0・5%程度(2014年の全国調査では0・8%)。あえて抗血清の危険を冒すべきか、微妙なところなのだ。
「そのため搬送されてきた患者のうち、グレードⅠとⅡ(手関節または足関節までの腫脹)の患者には、すぐに抗血清を打たず、入院させてしばらく様子を見るのがデファクトになっています」
その代わり「セファランチン」という薬剤を注射する。数十年前から行われている治療だが、この薬は円形脱毛症などにも使われるもので、マムシ毒にどれだけ効果があるのか、本当はよく分かっていないというから驚きだ。
またグレードにかかわらず「乱切」と呼ばれる治療が行われることがある。咬まれた部分を中心に、深さ数ミリ、長さ数センチにわたって皮膚に切れ目を何筋も入れて、毒を排出させるという治療だ。マムシ咬傷は外科医が担当することが多いため、乱切は全国の病院で行われている。しかし、これは効果がないばかりか、感染症のリスクが増してマイナス面が多いという意見もあるので、今後は減っていくかもしれないという。
「多くの文献には『破傷風予防のためにトキソイド(破傷風予防ワクチン)を注射せよ』と書かれています。しかしマムシに咬まれて破傷風になったという症例報告はほとんどありませんし、打たなくても問題ないという医者も少なからずいます」
■正式な治療ガイドラインはない
マムシ咬傷の治療は主に地方の病院で行われ、しかも1病院当たり多くても年間数例であるため、全国的な症例の蓄積が進まず、いまだに正式な治療ガイドラインが作られていない状況だ。
「暫定的なフローチャートはあるのですが、エビデンスが十分でないので、どんな治療を行うかは担当する医師に委ねられています」
肝心の抗血清は、「グレードⅢ(腫脹が肘または膝まで広がった状態)以上に達したら使用せよ」と、フローチャートや多くの文献で推奨されている。
グレードⅢ以上になると、患部だけでなく腎臓や肺に障害が出て、入院期間が長期化することが多いのだが、抗血清を投与することによりさらなる悪化を抑え、入院期間を短縮できるとされている。
「ところが数年前にある地方の中核病院から出された論文によれば、過去7年半に診たグレードⅢ以上の36例に対して、抗血清も破傷風トキソイドも打たなかったにもかかわらず、全員が内臓障害もなく完治して退院したそうです。抗血清の評価もまだまだ定まっていないのが現状です」
むろん、抗血清を打たないと本当に危ないというケースはある。それはマムシの牙が運悪く血管に刺さり、毒が血液中に直接打ち込まれた場合だ。アッという間に全身に回るため、咬まれた直後から頭痛、目まい、呼吸不全などが生じ、同時にDIC(正常な血小板が減少する症状)を起こして創口から血が止まらなくなるなど、急性の症状が表れる。
「こうしたケースでは、抗血清を打つと確実に症状が改善していくことが知られている。マムシに限れば、抗血清は患者の状態とタイミングが大切ということでしょう」
引用元:http://ai.2ch.sc/test/read.cgi/newsplus/1620482643/
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